そのほか、ドルトムント、シュトゥットガルト、カッセル、ギーゼン、ニュルンベルク、エアフルト、ハンブルクなどの都市で抗議デモが開催されている。抗議デモ参加者は「憎悪、扇動、排斥に反対」と叫ぶ一方、「ナチスと反ユダヤ主義者は国外追放すべきだ」といった過激なスローガンが書かれたポスターも見られたという。ハンブルクでは参加者が8万人と溢れ、余りにも多いため参加者の安全が保障されないとしてデモ集会は予定より早く解散させられたという。いずれの抗議デモ集会も平和裏に行われた。
ノルトライン・ヴェストファーレン州のヘンドリック・ヴスト首相(CDU)は、「AfDは極めて危険なナチ党だ。AfDは基本法に基づいていない」とX(旧ツイッター)で書いている。一方、経済界からもシーメンス・エナジーとダイムラー・トラックの監査役会会長、ジョー・ケーザー氏は20日に掲載されたロイターとのインタビューで、「AfDに投票する人は誰でも、わが国と国民の繁栄を失うことを選択していることになる」と警告を発している。また、ユダヤ人中央評議会のヨーゼフ・シュスター会長は抗議デモ集会の開催を歓迎し、「社会の中間層が立ち上がっていることを本当にうれしく思う」とアウグスブルガー・アルゲマイネ紙(20日付)に語った。
ただ、AfDを禁止すべきか否かでは、政治家や国民の間でも意見が分かれている。ロンドンの「過激主義研究所」のユリア・エブナー博士は20日、オーストリア国営放送(ORF)とのインタビューで、「AfDの禁止には反対だ。逆効果だ。AfDは犠牲者の役を演じることで有権者の支持を更に集める危険性が出てくる」と指摘、禁止ではなく、民主的な抗議デモを継続していくことを勧めている。
ちなみに、ドイツでは1956年に「ドイツ共産党」(KPD)が禁止されて以来、政党が禁止されたことはない。ドイツ民間放送ニュース専門局ntvによると、AfD禁止賛成47%、反対48%だった。AfD禁止問題はドイツ国民を2分している。なお、複数の世論調査によると、AfDは20%以上の支持を獲得し、ショルツ首相の与党社会民主党(SPD)を大きく上回っている。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年1月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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