共働きの子育て世代の住まいとして最近、首都圏を中心に「子育て支援マンション」が注目を浴びている。子育てしやすい施設、設備、サービスなどが充実したマンションを、制度によって自治体が認定したものだ。

首都圏や政令市などで広がる「子育て支援マンション」

先駆けとなったのは東京都墨田区の「すみだ子育て支援マンション認定制度」(「すみだ良質な集合住宅認定制度」に移行済)。最近では東京都、埼玉県のほか、横浜市、川崎市、大阪市、神戸市などの政令指定都市や、東京都世田谷区、千葉県流山市、愛知県一宮市などが認定制度を設けている。

墨田区の認定制度には、「子育て型」と「防災型」があり、うち「子育て型」として認定を受けているマンションは2018年8月現在で4棟だ。東京都の認定制度でも、新築集合住宅が6棟、既存集合住宅が7棟と数が多いとはいえず、希少性の高い魅力あるマンションと言っていいだろう。

どんな条件をクリアした物件が認められるのか

認定の基準は自治体によって異なる。たとえば東京都の「東京都子育て支援住宅認定制度」では、住戸の専有面積が50平方メートル以上、周辺に子育て広場、保育所などの施設が充実していること、段差解消、転落防止、シックハウス対策ほか複数の条件を満たす必要がある。さらに室内のドアに指挟み込みの防止策、玄関にベビーカー置き場の確保などの細かい条件を指定している。

分譲会社は認定制度にしたがって設計し、事前に審査を受けて設計認定書の交付を受けて着工、竣工時にも完了検査を受けなければならない。入居が始まってからも1年ごとに管理・運営状況の報告が義務づけられている。かなり面倒な手続きだが、それでも認定を受けるだけのメリットがある。

認定を受けると、自治体が作成している認定マークを広告などに利用でき、競合物件との差別化を図ることができる。市区町村から整備費用の一部の補助を受けられる可能性があるほか、総合設計制度などによって容積率の緩和を受けることができるメリットもある。

値段は一般のマンションと変わらない?

共用部分、専有部分それぞれに細かな規定があり、それらの実現がコストアップ要因となりそうなものだが、企業努力によって一般のマンションとさほど変わらない価格設定を行うことが多いようだ。認定取得をアピールしてPR効果を高めようという狙いもあるだろう。

認定制度のある自治体のWebサイトには物件名が掲載されているので、中古マンションとして売り物件がないか確認できる。空きがなければ認定制度のある自治体にターゲットを絞って新築が出るのを待つのがいいだろう。

「子育て支援」がマンション選びの新基準の一つになる

共働き世帯の増加と職住近接志向の高まりによって、今後も子育て支援マンションは増えていくはずだ。共働きの子育て世帯だけでなく、これから出産・育児を予定している世代も、「子育て支援」が住居の新しい選択基準になるだろう。

文・MONEY TIMES編集部
 

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