トルコのエルドアン大統領は17日、EUのフォン・デア・ライエン委員長と会談し、EUと連携してシリア難民の帰還を支援することで合意、EU側からはトルコに難民支援を援助することを申し出ている。なお、トルコはアサド政権の崩壊後、シリアの復興に積極的に関与する姿勢を見せるなど、中東での戦略的地位強化に乗り出している。ただし、シリア北東部では米国が支援するクルド系勢力「シリア民主軍」(SDF)とトルコ側との武装衝突が生じるなど、状況は依然不安定だ。トルコはシリア国内のクルド系武装組織をテロ組織に指定している。
アサド政権時代、シリア政府を支援してきたロシアはアサド大統領がモスクワに政治亡命したことを受け、シリア国内の空軍と海軍拠点の移転を進めている。ロシアは2015年以来、シリア内戦に関与し、アサド政権を支援してきた。その代わりに、ロシアはシリアにフメイミム空軍基地(Khmeimim Air Base)と地中海沿岸にはタルトゥース海軍基地(Tartus Naval Base)を持っている。中東やアフリカ、地中海への戦略的な影響力を確保する要石として重要視されてきた。これらの拠点は、部隊や傭兵、武器の輸送拠点としても機能してきた。外電によると、ロシアはシリアから防空システムやその他の武器を撤収させている。これらの装備の一部は、反政府派指導者、「リビア国民軍」を率いるハリファ・ハフタル氏が支配する東リビアに移動されたという。
欧米の情報機関筋は、ロシアのプーチン大統領が東リビアの支配者ハフタル氏を利用して地域での影響力を維持しようとしている、と受け取っている。ハフタル氏は過去、数年間にわたりクレムリンから支援を受けてきた。リビアは長年の独裁者ムアンマル・アル=カダフィが失脚・死亡して以来、混乱に陥り、国は西部のトリポリ政府と東部のハフタル氏率いる勢力の間で分裂している。ロシアはハフタル氏を通じてトブルク港への優先的なアクセスを得る可能性もあるという。なお、リビアにはロシアの民間軍事会社「ワグナー・グループ」の傭兵が数千人いる。