青葉被告は公判で、秋葉原で無差別殺傷事件を起こした加藤智大・元死刑囚のことを「他人事とは思えなかった」と語っている。当時のワイドショーが秋葉原事件を連日煽情的に報道したことが、青葉被告に悪影響を与えた可能性はあるのではないか。

青葉被告の犯行は被害妄想に基づく独善的・自己中心的なもので、彼に同情する声は少ない。しかし安倍晋三元首相銃殺事件を起こした山上徹也被告に対しては「義士」と称賛する声が散見された。

前述の通り山上被告にも、不遇な人生を送ってきたという意味で「無敵の人」の側面がある。彼を英雄視したり彼の境遇に同情したりするような風潮は、「無敵の人」による犯行を助長しかねない。この手の世間の反応や報道姿勢、犯行動機の憶測には、いま一度注意深く考える必要がある。