習近平氏はある意味、不幸かもしれません。なぜなら政治思想を今更、大幅に修正できないからです。一般的に言う自己啓発にはコア(核)となる自己の基準は存在せず、日々の鍛錬によりそれはどんどん変わっていく、というのも哲学的解釈の一つです。とすれば習近平氏は自己啓発、英語で言うself-enlightenmentを怠らざるを得ないとも言えるのです。ある意味、宗教家もそれに近く、過去の教えを踏襲するものの、そこからの飛躍は不得手となってしまうのです。
とすれば権威主義あるいは独裁主義は思想的フレキビリティの低いリーダーと一部の支持層によって成り立ち、多くの一般大衆は冷めた目、ないしあきらめの境地にあり、思考する努力すら怠るようになります。
強力なカリスマトップがいる会社や組織は概ね「指示待ち」になるのは思考をすれども判断することを一切絶つことにより組織の退化リスクがあることと判断する勇気が鍛錬されなくなるのです。カリスマが後任選びに苦労するのはそこにあるのです。そしてようやく選ばれた後任もほとんど自分の色を見せることなく、組織の維持、つまりより内部体制の再構築に力を注がざるを得ず、華やかな後継者にはなりにくいというのが概ね歴史が物語るところです。
アメリカの大統領選挙でふと気になっているのが共和党への支持層。メディアはトランプ氏の強さを異様に盛り立てるのですが、共和党に選挙資金がぜんぜん集まっていないという事実が十分に報じられていません。つまり、トランプ氏圧倒的支持云々の報道は茶番である、と冷めたアメリカ人が共和党との距離を置き始めているともとれるのです。民主党への選挙寄付は巨額で順調に集まっています。
アメリカの大統領が金の力で決まるとは言いませんが、選挙資金が人気のバロメーターであるとすれば今の共和党は報道とは裏腹で「森を見ず、木だけを捉えている」ようにも感じます。
混とんとする世の中故に人々の意見もバラバラになっている、そんな社会が見受けられます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月12日の記事より転載させていただきました。
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