「会社が厳しくなったとき、会社にとって重い経費は人件費。社長は社員の減給をしたいと考える」と言うのは経営コンサルタントの横須賀輝尚氏。
ドラマや映画などでは、「来月から減給だ!」のようなシーンがありますが、実際にどんな場合に減給は適法で、またどんな場合に違法になるのでしょうか。今回は、横須賀氏の著書「プロが教える潰れる会社のシグナル」より、再構成してお届けします。
「みんなで頑張ろう」と減給の相談が始まる会社経営でかかる経費の中で、その大部分を占めるのが人件費。会社が傾きかけた社長にとっては、その人件費はとても重く見えます。
とはいえ、社員がいなくなってしまっては会社経営も成り立たないので、全員解雇なんてできやしない。そこで、社長が考えるのが「減給」です。
よくドラマや映画などで「お前なんか、来月から減給だ!」とか言って社員の給与を一 方的に下げる命令をするシーンなどがありますが、現実的には理由のない減給は「不利益 変更」といって、法律で禁止されています。
減給が有効なのは次のとおりです。
減給が有効なケースとは?(1) 社員との合意がある (2) 規律違反、問題行動による処分 (3) 評価制度にともなった降格、減給 (4) 会社都合の減給
(1)はそのまま。社員と合意があれば減給できます。
(2)は無断欠勤だとか、問題行動があった場合の減給。ただし、就業規則が整備されていない場合などは無効になりますし、就業規則に定めたからといって、何でも許されるわけではありません。
(3)評価制度も同じ。人事評価を行って評価が下がったから減給、という流れなのですが、これも合理性がなければその減給は違法です。
(4)は、経営が悪化したためにやむなく減給をするというパターン。
いずれにせよ、減給って簡単にできないものなのです。ただし、違法な減給だからといって反論したとしても、会社が一方的に決めてしまうこともあります。
その違法性を争うためには、最終的には裁判など法的手段に訴えるしかなく、社員としては弱い立場にあるといえます。
しかしながら、減給にはいろんな方法があります。