事業経営において、リスクは二つの階層をもつ。第一は、事業の目的として明確な意図をもって積極的にとる本源的リスクであり、第二は、そのリスクをとったことによって、意図しないにもかかわらず受動的にとらざるを得なくなる様々な付随的リスクである。

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例えば、あるものを製造販売すれば、製品に対する需要変動という本源的リスクをとるだけではなく、製造工場の火災等の付随リスクもとらざるを得ない。また、金融は、事業活動に資金供給することであり、融資、社債や株式の引き受けなどの資金供給形態の差に応じた異なる程度において、その事業のもつ本源的リスクへ参画するわけだが、同時に金融に固有に付随する諸リスクをとることでもある。例えば、投融資先の事業のリスクに加えて、融資には金利リスクが伴い、株式には大きな価格変動リスクが伴うのである。

リスクの二階層に応じて、本源的リスクをとることは、能動的な意味をこめてリスクテイクと呼ばれるべきだが、付随的リスクについては、能動的にとられるものではないので、テイクという用語は不適当であり、マネッジ、もしくはコントロールという用語が使われていて、それを日本語ではリスク管理と呼んでいる。