が、ここにきてアルコールが「いけてない」のは明白なトレンドであります。先日のブログでなぜ若い人は酒を飲まないのか、という問いに「酔いたくないから」と述べました。多分、これが図星だろうと確信しています。背景はいろいろやりたいことがあるに尽きるのです。ところが酒に酔うとその日の夜はほぼ無為になってしまうことも多く、それを若い世代は嫌うのです。
私の世代が麻雀が流行らなくなったちょうど切り替わりの時期でした。学生時代、私の大学の周りからは雀荘がどんどん消えており、私がつるんでいたクラス仲間は「暇だよね、タバコでモクモクする部屋で、出前で丼物を頼んで朝までジャラジャラやるんだからね」と非常に醒めた目線で雀荘に通う人を見ていました。もっと言うなら「早稲田って未だに麻雀やるらしいぜ、いけてないよな」とひたすら早稲田の文化的遅れ、いや質実剛健のそのスタイルが時代にマッチしていないと話題にしたものです。
その後、ゴルフブームになった時、私は下手だったこともあるのですが、「このブームは絶対に長続きしない」と断言していました。ちなみに私は当時、法人会員価格一次売り出し日本最高額の8千万円のゴルフ場の工事、完成後の管理をしていました。会員権の販売管理も私がしました。なぜ、流行らないと断言できたかと言えば多くの社内の管理職が月2-3回、一回2万円程度の出費でゴルフ場に通い、高価なクラブの品評会に「サラリーマン、ゴルフのお金はOBショット」と詠んだのです。
こう見るとマージャンもゴルフも酒もタイパが悪い、これが共通点です。飲み会で夜更けまでだらだら飲む時代ではなくなったのかもしれません。ですが、今回、銀座の並木通りで食事をした時、夜の街に繰り出す車が並んでおり、きれいなお姉さまが同伴でご出勤されるのを見るにつけ、昭和だなぁ、と思うのであります。
若者にとっては現代社会は楽しいことが無限に広がります。そして10人いれば10人とも違う趣味があり、車座になってボロアパートで一升瓶を前に語り明かすなどというシーンはあまりにも遠い話となったのです。
国税庁の調査によると日本人のアルコール摂取量は2001年の95.4リットルから2021年に74.3リットルになったとあります。グラフを見ても長期下降トレンドを描いており、これは今後も続くのだろうと思います。
最近は私もあまり飲めなくなったのですが、飲まなくても全然大丈夫なのは寝る直前までやりたいことがあるということなのでしょう。たまにちらっとたしなめれば良しで酩酊するほど飲むことはもう一生なさそうです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月25日の記事より転載させていただきました。
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