火力発電については、最小まで絞っていた出力を夕方に向けて急速に増加させると共に、停止していた設備の再起動を組合わせることで太陽光の出力減少に対応している。このように、電力の安定供給は、日中の電気が余った状況から夕方の高需要の時間帯に向けて一気に供給力を増やすことができるかにかかっている。
また、太陽光や風力などの自然変動電源が拡大すると、それ自体が不安定な電源であることに加え、それらが優先給電されることによって火力発電を電力系統から押し出してしまうため、日中の需要の変動や天候の急変等に対応するのに必要となる調整力が不足することも問題となる。
このように再エネ余剰への対応もさることながら、再エネの発電量低下への備えを万全にしておくことが安定供給を維持するうえでとても重要であり、闇雲に火力を停めてしまえば良いというわけではない。
需給バランス維持の問題は、朝昼晩という一日の変化だけでなく、週間や季節間といった長周期の変動にも備える必要がある。
下図に示すように、我が国の太陽光発電の発電量は日によって10倍程度変動する実績となっている。また、風力発電が多いとされる欧州でも、風も吹かない日が10日程も継続し、再エネの発電量が低い状況が続くことがある。
このように、過去の実績でも曇天や夜間、さらに無風の時など再エネの出力がほとんど期待できない時間帯があることが明らかになってきており、自然変動電源の増加に伴い、むしろ火力発電等が担っている予備力・調整力を如何に確保していくのかが問題となっているのである。
(次回につづく)
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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