効率市場仮説については、その基本原理を否定し得ないが、価値と価格の恒常的な一致を仮定することには無理がある。つまり、価格は価値を基準とし、価値に向かって、価値の周辺で変動するという仮定は妥当であり、価値と価格が長期間にわたって非常に大きく乖離することはないとしても、常時、価値と価格との間には、乖離があり得ると考えられるのである。

この乖離について、価値が価格を上回るとき、その差は、バリューと呼ばれる。英語のバリューは価値のことだが、投資の世界では、バリューは価値そのものではなく、価格を上回る価値を意味しているので、敢えて片仮名でバリューと呼ばれている。なお、日本語では、バリューのある状態は割安と呼ばれ、逆に、価格が価値を上回っている状態は割高と呼ばれている。

そこで、投資とは、第二に、割安に資産を取得するように努力すること、即ちバリューのある資産を取得し、バリューから追加的収益を得ることとして、バリュー投資になるわけである。

森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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