安岡先生は御著書で「人間は自得から出発しなければいけない。人間いろんなものを失うが、何が一番失いやすいかというと、自己である。根本的・本質的に言えば、人間はまず自己を得なければいけない。人間は根本的に自己を徹見する、把握する。これがあらゆる哲学、宗教、道徳の、根本問題である」と仰っています。
要するに、鏡に映る自分の姿は鏡を通じた一種の虚像であり本物でないのと同様に、心の奥深くに潜む自分自身、己を知るは極めて難しいことなのです。それは人生で様々な経験を重ね行く中で一つひとつ分かってき、それが人間一人ひとり出生時に天が与えし命に繋がって行き、世のため人のためという志になるわけです。
「人の生涯、何事によらず、もうお終いと思う」てはなりません。此の世のあらゆる出来事は、皆天の配剤であります。我々人間は、人の人たる所以の道を貫き唯ひたすらに努力し続けて、天が与えたもうた自分の役目を己の力で一生懸命追求し、その中で自得して行くのです。
編集部より:この記事は、「北尾吉孝日記」2024年2月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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