ドイツ南部バイエルン州の州都ミュンヘンで16日から18日まで第60回ミュンヘン安全保障会議(MSC)が世界各地から国家元首、政府首脳、軍事問題専門家などを招いて開かれる。MSCはスイスの世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の安全保障版と受け取られ、毎年、ドイツ南部のミュンヘンで参加者が世界の紛争防止、安全保障問題などについて話し合う。報道によると、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する。
ところで、MSC会議の直前、トランプ前米大統領が今月10日、サウスカロライナ州の選挙集会で、「北大西洋条約機構(NATO)がロシアから攻撃されても、米国は軍事支出が少ない加盟国を守らない」と受け取れる発言をしたことが報じられると欧州で大きな動揺と困惑が生じている。MSCではトランプ発言について参加者の間でホットな討議が行われる見通しだ。
MSCの開催に先駆け、ドイツのジグマ―ル・ガブリエル元外相は独週刊誌シュテルンに寄稿し、「欧州には信頼できる核の抑止力が不可欠だ」と語っている。同氏は、「このテーマを考えなければならない時が来るとは考えてもいなかったが、欧州の抑止力を高めるためには欧州連合(EU)における核能力の拡大が必要な時を迎えている。米国の保護はもうすぐ終わりを告げる。欧州の安全の代案について今すぐ議論を始めなければならない。私たちがこの質問に答えなければ、他の国が答えてしまうだろう。例えばトルコだ」と指摘し、欧州の自主的な核抑止力の強化を強調している。
ガブリエル氏は、「欧州の安全保障を強化するにはドイツとフランス、理想的にはイギリスと協力した大規模な戦略的攻撃力を構築することだ。例えば、トランプ氏が再びホワイトハウスの住人となった場合、米政権がウクライナへの支援を拒否した時、欧州はどのようにしてウクライナを支援するかについて明確にする必要がある。ドイツを含め、欧州はそのような脅威についてまだ真剣に認識していないのではないかと懸念する」と述べている。