株価が初の4万円台に達し、34年振りに史上最高値を更新しましたが、34年もかかったのかというのと、これは日本経済の実力を反映したものなのか、という思いが致します。

東証プライム市場では外国人投資家による取引が株数でも金額でも約7割を占めており、「異次元の金融緩和」による円安で彼らにとって日本株が「お買い得」になったことは間違いありません。これに日銀の下支えとインフレによる株投資へのシフトが加わっての株高だとすれば、それは必ずしも日本の実体経済を反映したものとは言えないのではないのでしょうか。

このような金融緩和はいつまでも続けられるはずはなく、いつかこれを転換して円高に向かった時、株高は続くのでしょうか。特号活字で株価最高値を報じた新聞もありましたが、正直かなりの違和感を覚えました。

「貯蓄から投資へ」との政府の方針は正しいと思っていますが、投資に自己責任が伴うことは十分に周知しなければなりませんし、今のところ株を購入した人が意図しているであろう当該企業への投資という意味あいはあまり強くはありません(2020年に売買された株744兆円のうち、会社が株発行によって調達した資金は2兆円にも満たず、それ以外はすべて転売でした)。

田中学氏はこれをコンサートチケットに例えて「コンサートチケットが値上がりしてもコンサートの質は良くならない」と論じており、然りと思わされるところがあります。株価上昇は喜ぶべきことではありますが、そのトレンドを利用して日本経済の実体を強化していかなければ、「失われた〇〇年」がさらに延びてしまいかねません。

自民党大会を間近に控えて、党の政治刷新本部の議論も大詰めになっています。「裏金問題の真相を明らかにせよ」「裏金を受け取った者は責任をとれ」「たとえ法に反していなくても、党則改正による罰則は遡及的に適用すべきだ」等々の発言が多く聞かれ、ようやく議論が活発になっていることは前向きな変化と受け止めていますが、自民党の在り方をどのように変えていくのかなど、今後は更に本質的な議論が行われるべきです。

これは政党法の議論とも関係することですが、知事にせよ市町村長にせよ、自治体のトップの選挙には当然に公職選挙法の適用があるところ、実質的に日本国のトップとなる総理大臣を決めることになる自民党総裁選挙規定はあくまでも私的団体の長を選ぶ私的規定との整理を超えていません。加えてその都度都度にルールが変わるというのも、一度広範な議論が必要だと思います。

また、党大会に次ぐ自民党の高位意思決定機関は両院議員総会ですが、所属国会議員の3分の1の開催要求があった場合、召集権者である両院議員総会長は党則上「要求があった日から7日以内に両院議員総会を招集すべきものとする」となっており、必ず開催しなければならないとの規定にはなっていません。総務会の決定を覆せる権能を持つ両院議員総会の開催が、時の執行部の恣意によって妨げられるとすれば、それは党の意思決定の在り方としてあまり望ましいものとは思われません。

今回は3月17日の党大会に間に合わせなければならないとの時間的制約からやむを得ない面もあったのでしょうが、党の刷新を謳うからには、今後とも議論の継続が必要です。

来週金曜日の3月15日には、鳥取県議会議員鳥取市選挙区の補欠選挙が告示となります。極めてユニークな経歴を持つとはいえ、無名の新人である山本暁子(あきこ)氏の後援会の充実に向けて、逆風下、可能な限りの努力をしたいと思っております。

今般発表された「2024年都道府県版ジェンダーギャップ指数」の政治分野において、鳥取県は行政部門と経済部門の第1位に比べ、第24位と大きく見劣りしており、この打開にも繋げたいものです。

3月も半ばというのに、今週末の都心は肌寒い日々が続いています。

皆様、ご健勝にてお過ごしくださいませ。

編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2024年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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