黒坂岳央です。

大企業には窓際族(Windows2000)とか、働かないおじさんと呼ばれる人がいる。年功序列でそれなりに給与をもらっているが、出社して退社するまで何も仕事はない。社内でもあまりに存在感がないので「妖精さん」と呼ぶ人もいるようだ。

実質FIRE状態で会社も首にできないので勝ち組!という意見もあるが、自分はそう思わない。サラリーマンの時期に閑職の部署で似たような立場を経験してそう感じるのだ。

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「逃げ切り」という大きなリスク

「逃げ切り」という言葉がある。最も知られているものは団塊世代は自分たちが支払った保険料以上の年金を受け取れる「逃げ切り世代」などと呼ばれる。また、働かないおじさんも定年まで楽をしながら逃げ切るつもりの人もいるはずだ。

一見、楽をして高給を受け取る逃げ切るという働き方に対して、必死に働く人にとってはずるい!と感じるかもしれない。だがそう単純な話ではない。世界時価総額ランキングに入るような大企業ならいざ知らず、多少大きめの会社であっても変化の速い今は常に倒産リスクを抱えている。かつては誰もが憧れるような大企業も例外ではない。あの東芝が投資ファンドに買収され、シャープは鴻海に買収されるなど想像できただろうか。倒産までいかずとも、大きな変革の波は止まらない時代だ。

大企業も余裕がなくなってきた今、窓際族という働き方がうまくワークするのは、あくまで定年まで今の地位が確保されるというのが前提であり、それは大きな大きな人生のギャンブルに思える。仮に会社を出ることになれば、有効な仕事の実績やスキル、経験がない中高年のおじさんを諸手で受け入れる企業を見つけるのは簡単なことではないだろう。