私の4月17日のブログで「北米市場を見ている限り、地合いが良いとは言えません」とし、「日本の株価はどうなのでしょうか?…短期的な調整も指摘していたと思います。今、まさにそこにあるということです」と述べたうえで「これから2週間は緊張感をもって情勢の動きを確認したほうが良いでしょう。ばくちをするなら別ですが、基本は静観するのが正しいと思います」とさせていただきました。今のところは外していないと思います。

市場で強弱感が対立した場合、株価の揺らぎは大きくなります。東京市場はその典型です。では誰が買っているのかといえば個人なのです。外国人投資家が引いている中、逆張りが大好きな個人投資家が果敢に買っており、4月第三週の個人の買い越しは史上最高の9086億円です。(外国人投資家は5925億円の売り越し。)

では本日の日銀の政策決定会合で何が発表されるか、ですがQT、つまり量的緩和の縮小を何らかの形で表明する可能性があります。昨日、為替の話をしましたが円安万歳と思う人はもう古いのです。昨日JALの社長が円高がいいと述べたと申し上げましたが主要経済団体のトップは今の為替は行き過ぎと皆発言しています。円高や円安のどちらが良いというのではなく、為替は安定する方が良い、という点で経済界はほぼ足並みが揃っています。

では誰が円安でもいいといっているのかといえば一部の経済評論家なのです。彼らは実務ではなく机上の理論なので耳障りが良い話をしますが、経営をしている側とすれば何をぬかす、ということです。

黒田元総裁はタカになろうとしたハト、植田総裁はハトのような気遣いを見せるタカと申し上げました。たぶん、今日の昼にそれが妥当かわかると思います。QTに何らかの形で言及すれば植田氏はタカだというイメージが一気に広がるでしょう。それは円高へのバイアスになります。株価にはむしろスパイスのような形になり、中長期的には悪い結果にはならないと思います。あと効果は別として、為替実弾介入には要注意です。ゴールデンウィークまで待たず今日以降、いつでもありうるかもしれません。

決算発表で大事なのは決算の数字そのものと先行き見通しが株価に響きます。ただ、決算の数字はアナリストがある程度予想をしており、その予想に対してプラスかマイナスかで判断されるため、インパクトはどちらかといえば先行き見通しを会社がどう見ているか、そこにかかります。日本の会社はコンサバな見通しを出す傾向が強く、株価への刺激が十分でないとも言えます。ただ、日本は今回は本決算の発表となるので今期の見通しは要注意だと言えます。

分厚い雲から抜けるにはもう少し時間がかかりそうな気配を感じます。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月26日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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