このような合意があったからといって、中国は、今後数年で建設する予定の300ギガワットの石炭火力発電所(日本の全ての石炭火力発電所合計の6倍もある!)の建設計画を変える必要を微塵も感じないだろう。インドの石炭利用拡大も、ブラジルの石油生産拡大も、同じことだ。
これが実態であるにも関わらず、NHKだけでなく、欧米のメディアの多くも、このようなフェイクニュースまがいを懸命に流している。なぜか?
それは、バイデン政権や欧州の指導者らは、これをもって、自国民に対し、化石燃料を廃止するのは自分たちだけではない、と信じさせ、コストのかかる対策を押し付けようとしているからだ。だが実際のところは、中国も、インドも、ブラジルも、今回の合意によって何も化石燃料に関する行動を変えることは無いだろう。
米国の新聞ウオールストリートジャーナルの社説はこれを見抜いている。共和党が下院の過半数を占める米国も、今回の合意で何も変わらないだろう。
その一方で、今回の合意で、全く報道されていないことがある。
開発途上国側は、先進国の支援を脱炭素の前提としている。その勘定書きはどんどんエスカレートしている。今回の合意文書にも、2030年までには年間約1兆ドル(正確な文言は米ドルで2030年までの累積で5.8-5.9兆ドル)、2050年までには年間5兆ドルが必要だ、と書きこまれている:
1兆ドルの1割を日本が支払うとしたら、150兆円の1割だから年間15兆円だ。こんな法外な金額は絶対に払えない。だがそうなると、途上国は、2030年の約束を守らなくてよいことになる。
毎年恒例のCOPは、壮大な茶番劇になっている。
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提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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