共産党の「安保廃棄」で日本を守れるのか
以上により、日本防衛にとって「日米安保」の存在がいかに重要であるかが明白になったと言えよう。
共産党が主張するように、「日米安保」に基づく在日米軍が、仮に米国の世界戦略の一環であり「他国に対する殴り込み部隊」であるとしても、だからと言って、日本が実際に武力攻撃された場合にも在日米軍が日本防衛とは全く無関係の存在であり続けるとは言えないであろう。
なぜなら、日本に対する武力攻撃は在日米軍基地への攻撃を含む可能性が高いからである。その場合は、前記のとおり在日米軍の人命・戦闘機・艦船等が失われ、軍事施設が破壊され、米国にとっても重大な「国益」にかかわるからである。
共産党の「安保廃棄論」は安保条約5条の「日米共同防衛」を全く無視するものである。この規定があるからこそ、中国もロシアも北朝鮮も日本には容易に手を出せないのである。なぜなら、手を出すと最悪の場合は安保条約5条により、核戦力を含む世界一の軍事大国である米国との全面戦争を覚悟しなければならないからである。
その意味で、戦後の日本の安全保障は「日米安保」と決して無関係でないことは明らかである。「日米安保」が戦後日本の安全保障にとって最大の「抑止力」であったといっても過言ではない。
このように日本の安全保障にとって死活的に重要な「日米安保」をあえて廃棄すると主張するのが現在の共産党である。
共産党は「日米安保を廃棄して、東南アジア諸国連合とも協力し、北東アジアに対話の枠組みを作り、日中間の対話を促進し、市民運動をアジア規模で広げる」(赤旗5月7日)と主張する。
しかし、安保条約を廃棄した日本は米国という強大な同盟国を失って「丸裸」になり、中国、ロシア、北朝鮮にとって極めてくみしやすい相手となることは明らかであろう。米国による「核抑止力」を失った日本は、これらの国からの恐怖の「核恫喝」にも全く無力となり「核恫喝」にひれ伏さざるを得ないであろう。
そのうえ共産党は党綱領四で自衛隊まで解消するというのである。まさに、共産党の「安保廃棄論」は、日米同盟による「抑止力」を失った日本国と日本国民を滅亡の危険に晒す「暴論」というほかない。
なお、上記の通り、共産党は「安保廃棄」により東南アジア諸国連合との協力を強化し、平和外交で日本の主権と安全を守る旨主張するが、上記諸国連合が安全保障上、到底「日米同盟」の代替にならないことは明らかである。
共産党は意図的に上記諸国連合を過大評価しているのである。なぜなら、フィリピンは上記諸国連合の有力加盟国たる「原加盟国」であるが、南シナ海における国際法無視の軍事大国である中国の力による現状変更を受けたため、改めて米国との個別的防衛協力を余儀なくされたからである。
このように、上記諸国連合は軍事大国中国には無力なのであり、これが国際社会の厳しい現実である。1億2000万国民の生命にかかわる日本の安全保障を到底上記諸国連合などに依存できないことは明らかである。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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