年収500万円という給与水準は妥当?
アパレルチェーンの店長とは、具体的にどのような仕事内容なのか。また、どのような点が大変なのか。アパレル業界でトレンドリサーチやコンサル事業などを手がけるココベイ社長の磯部孝氏はいう。
「店舗売上の管理に加え、売れる商品の見極めと発注、売り場レイアウトの決定、アルバイト店員の採用を含めた店舗内の人事、カスタマーサービス、本部とのやりとりや本部で行われる会議への出席、テナント店舗であればディベロッパーとのやりとりなど、その業務内容は非常に多岐にわたります。ユニクロの場合、大きめの店舗では店長1人に対して社員が2~3人、準社員が3~4人、アルバイトが50人くらいというのが一般的な人員構成となっているようです。アルバイトも大きく『パートナー』『アドバンスパートナー』『シニアパートナー』に分かれており、さらに7つのグレードに分けられ時給も違ってきますが、その人事管理も任されることになります。シフト作成やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)の担当者、時間帯ごとの売り場責任者なども置かれてはいますが、最終的な責任者は店長になります。
そしてもっとも重要な業務が売上管理です。各店舗ごとに前年実績などに基づき一日当たりの売上目標が設定されており、決められた人件費のなかで店員を割り振りして回していかなければなりません。ユニクロはこの数値管理が厳しいことで有名で、朝会や終礼などを通じて日々の売上目標額が末端のアルバイト定員にまで周知されているようです」
ユニクロほどの規模のチェーンになれば、店舗業務はある程度マニュアル化されており、属人的な要素は少ないのではないか。
「商品陳列や接客に関するマニュアルは用意されているものの、ストアマネジメントはマニュアル化が難しい要素が多いのが現実です。たとえばアルバイトが50人いたとして、各人のスキルには差があり、大半は学生なので学業やプライベート、就職活動などの都合でシフトに多くは入れる人もいれば、そうではない人もいる。店舗の立地や天候、客層などマニュアルには頼れない変動要因が多いため、最終的には店長の力量が問われることになります」(磯部氏)