合格者数が増えている高校、減っている高校

――急速に伸びてきている高校はありますか。

「渋谷教育学園幕張(千葉)、渋谷教育学園渋谷(東京)と私立女子校です。後者は具体的には、頌栄女子学院(東京)、豊島岡女子学園(東京)、女子学院(東京)、洗足学園(神奈川)、鷗友学園女子(東京)などです。

 渋谷教育学園の2校は2000年代に入った時点で進学校でした。それが2010年代以降、さらに伸びていった印象です。グローバル教育や帰国子女の受け入れを長年、展開しています。自由、かつ、多様な価値観を認めて自立を促す校風は、結果的には現在の大学入試改革にマッチしています。

 女子校は、理数系に力を入れた高校がランキング上位に入っています。女子校の難関校は桜蔭(東京)などが東大や医学部志望者が多くいました。それが2010年代以降、リケジョ(理系女子)の需要が増え、進学者も増えています。この影響を女子校が、それぞれ受けているといえるでしょう」(同)

――逆に、かつてはランキング常連だったのに、最近は難関大合格者が減っている高校はありますか。

「桐蔭学園(神奈川)、筑波大学附属駒場(東京)、海城(東京)、東京学芸大学附属(東京)などは、2010年代以前はランキング上位の常連校でした。近年は早慶上理ランキングでは、そこまで上位に入っていません。ただ、東大などのランキングでは上位のままです。これは進学実績が下がったというよりも、医学部志向が強くなった、あるいは、地域外となる京大や大阪大なども含め進路が分散したことも影響しています。ランキングから落ちているといっても、それだけで志望校から外すのは考えものではないでしょうか」(同)

 ひと昔前に比べると、就職にあたって判断される基準が学歴一辺倒ではなくなってきているものの、一部上場企業や大企業においては、まだ大学名が大きな要素となっていることは厳然たる事実だ。難関大学に進学することで、将来の就職口の幅を広げたいと考えている人は多いだろう。そのために高校選びに親子で苦闘したり、さらには中学校や小学校から私立受験をするケースは年々、加熱傾向にある。だが、有名高校に入ったからといって、大学進学が安泰ということはなく、逆にあまり有名ではない高校が難関大学に指定校推薦枠を持っていたりすることもある。

 高校選びは慎重に慎重を期して、将来に花を咲かせていただきたい。

(文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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