大学教育より必要なのは職業教育

必要なのは、アカデミックな教育ではない。ここ30年でエリート大学卒の賃金が30%以上も上がる一方で、カレッジ(無名私大)卒の賃金は下がっている。これは教育の効果(人的資本)より学歴の効果(シグナリング)のほうが大きくなってきたことを示す。

教育投資に対する収益率が最高なのは幼児教育だが、大人にも効果的なのは職業教育である。図のようにアメリカでは高賃金の求人の49%がコーディング(コンピュータのプログラミング)能力を求めている。過去5年間にデータ分析の求人は372%増え、データ画像化の求人は2574%も増えた。

ホワイトカラーや官僚のような認知的能力は、これからコモディタイズして機械学習で代替できるが、個人向けサービス業に必要なのは、社交能力や学習能力などの非認知的能力だ。これを大人になってから訓練することはむずかしいので、幼児はなるべく早くから他の子供と集団で教育したほうがいい。

リベラルアーツは娯楽なので、大学のキャンパスに学生を集めて無理やり教える必要はない。他方で労働者が職業訓練を受けるチャンスは限られており、学位などのインセンティブもない。労働市場を流動化するためにも、職業訓練のオンライン教育(MOOC)を強化し、中世のuniversityに帰るべきだ。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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