欧州連合(EU)の対北制裁もあって、北への圧力が強まっている。ウィーンには昔、2桁の外交官が登録されていたが、現在6人と外交官数は縮小。北は2004年6月末、米国の圧力から欧州唯一の北の銀行「金星銀行」の閉鎖を強いられたことはまだ記憶に新しい(「『ゴールデン・スター・バンク』の話」2019年10月9日参考)。

北朝鮮は10月、アフリカのウガンダとアンゴラ、欧州のスペインにある大使館を閉鎖し、在香港総領事館も閉鎖を決めた。その後バングラデシュとコンゴ民主共和国の大使館も閉じられたことが分かった。今後、閉鎖される在外北公館が増えるかもしれない。

北朝鮮外務省はこれについて「外交的力量の効率的な再配置」と主張しているが、韓国側は、「国際社会による制裁の強化で外貨稼ぎが困難になり、公館の維持が難しくなっているため」との見方をしている。

なお、今回は閉鎖される北朝鮮大使館でスペイン大使館といえば、2019年2月22日、首都マドリードにある北朝鮮大使館に何者かが侵入し、大使館関係者を拘束し、パソコンや携帯電話などを奪って逃げ去るという事件が発生したことがある。同事件は、CIAエージェントと海外の北朝鮮反体制派グループ「自由朝鮮」の仕業と推測された。

同事件は平壌指導部を驚かしたことは間違いない。同事件の4年半後、北側はスペイン大使館の閉鎖に踏み切ったわけだ。スペインでの職務はイタリア大使館が兼務することになっている(「『朝鮮半島のハムレット』の幕開け?」2019年3月20日参考)。

韓国・聯合ニュース(日本語版)によると、北朝鮮が国交を結んでいるのは159カ国・地域を超えるが、経済難に見舞われた1990年代の「苦難の行軍」以降、在外公館は徐々に縮小され、2023年11月29日の時点で北の在外公館は46カ所。平壌に在北朝鮮公館を持つ国も撤退閉鎖が進み、2021年3月時点で残存しているのは13カ国のみだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年12月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?