先日、東京湾岸に行った際、林立するマンション群に圧倒されたのですが、私は不動産を生業とする立場からそんなところにまず住みたいとは思いません。それはあまりにもリスクが多い選択なのです。液状化の心配、高層階からエレベーターなしでの避難、地上ではガラスなどが降りかかる危険、それ以上に高層住宅が林立しているということは人口密度が異様に高いということなのです。そこで猫の額のような避難所に住民が殺到した場合、どういう状況になるか、想像しただけでも恐ろしくなるのです。
それでも湾岸沿いのマンションが高値を呼んでいるということは災害も交通事故も同じぐらい、当たったらアンラッキーぐらいの感じなのでしょうか?
能登半島の復興はこれからですが、もともと平地が少ない地形でアクセス道路も限れている中で今回のような災害が起きれば逃げ道がないという悪条件が重なるリスクを考えれば復興するにしても個人的には最小限にとどめ、できるだけ半島の根元の方に移住して頂く行政による誘導策を打ち出した方がよいのかもしれません。
国土強靭化は自然災害に対する抵抗力の強化ですが、国民が長く安全に暮らせる環境を整備するという発想はコンパクトシティの発想と共に重要だと考えます。
総務省が調査している東日本大震災以降の岩手、宮城、福島の被災地の人口動態をみると岩手は年齢15歳から24歳のレンジの方の転出、宮城は20歳から45歳ぐらいのレンジの転出、そして福島は0歳代から50代までほぼ全年齢域での転出が見られます。もしもこの統計の流れが能登半島にも当てはまるなら能登半島も厳しい人口流出が起きると予想出来るわけでそれならばそれを前提にした復興と再生計画を立てるべきだろうと思う訳です。
震災とのお付き合いは起きたらしょうがないではなく、起きても大丈夫というスタイルに変えていきたいところです。日本人がいくら震災に慣れているからとはいえ、誰一人、それを恐れていないわけではないのです。そして仮に立派な住宅でも埋立地、それは海際のみならず、沼地などを埋めたエリアなども液状化しやすく、木造住宅はほぼなすすべもなく崩れてしまいます。
震災への備えとは緊急食などもそうですが、いざという時どういう行動をとり、何処に避難するのか、あらかじめプランしておくことも大事でしょう。そしてネットが使えなくなるリスクを考え、紙に書き留めるなどのバックアップも重要になって来るかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年3月10日の記事より転載させていただきました。
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