新しい言語を効率よく学ぶカギは、意外にも睡眠にありました。
南オーストラリア大学 (UniSA) のチームによる研究結果から、脳が睡眠中に記憶の整理を行う仕組みが明らかになりました。
その背景には、睡眠中に脳内で起こる2つの脳波の連携が関係しています。
脳がどのように情報を整理し、記憶として固定化するのか、見ていきましょう。
研究の詳細は2024年11月21日付の学術誌『Journal of Neuroscience』に掲載されています。
目次
- 脳内で記憶を整理する「睡眠の舞台裏」
- カギは「徐波」と「睡眠紡錘波」の同期
脳内で記憶を整理する「睡眠の舞台裏」
私たちが新しい言語を学ぶ時、脳は単語の意味や文法のルールを整理し、記憶として固定化する重要な作業を行います。
記憶を固定化するプロセスには睡眠が深く関与しており、特にノンレム睡眠が大きな役割を果たします。
ノンレム睡眠は、脳が深い休息をとる一方で、記憶を整理し、長期記憶へと固定するための舞台裏とも言える時間です。
ここで登場するのが、脳波の1種である「徐波」と「睡眠紡錘波」です。
徐波は、脳の神経細胞がゆっくりとしたリズムで一斉に活動する現象で、まるで脳全体が波打つような動きです。
これは、学習した情報を海馬から大脳皮質へと運び、長期記憶へと保存するための土台のような役割を果たします。
一方、睡眠紡錘波は、脳波に短く鋭い紡錘形の波として現れ、情報を細かく整理し、記憶を強化する役割があります。
この2つの活動が互いに連携することで、日中に学んだ新しい情報が脳内で整理され、長期記憶として固定化されるのです。
言語学習においては、徐波が記憶の転送を支え、睡眠紡錘波が文法や語順といったルールの「パターン化」を助けることで、学習した内容が確かな知識として定着すると考えられています。