これは会計基準の問題だけにとどまらない。日本の金融機関のPBRは米国と比べて非常に低い水準にとどまっており、世界の投資家から見放されてしまっている状況だ。いわば日本会計基準が隠れ蓑のようになってしまっているが、見る人はきちんと見ており、それが株価に反映されてしまっているということではないか。たとえば2022年3月の銀行セクターにおけるPBRは日本の0.44倍に対し、米国は1.58倍と約3倍もの開きがある。さらに驚くべきは、TOPIX500の43%がPBR1倍未満の会社であることだ。なおS&P500企業でPBR1倍を下回っている企業はわずか3%のみである。PBRが1倍未満とはつまり「事業を続けるより解散した方がいい状態」であり、これは株主価値を毀損していることに他ならない。
日本の金融機関が世界に伍していくには国際比較の出来る会計基準を採用し、それを適時に提出することが必要不可欠である。特に金融業界は旧態依然とした業界構造が強く、時代に合わせて体制を変えていくべきだろう。国をあげてグローバル化を推進するのであれば、こういったところから始めるべきだ。
編集部より:この記事は、「北尾吉孝日記」2023年11月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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