(5)本当は、感謝されたい なんだかコーチングの授業みたいになってしまいましたが、要はプライドをくすぐるということ。「あなたならできますよね?」と成長意欲を促すこと。そして、士業個人の存在を肯定し、感謝し労うこと。普通のことですが、特に肯定と感謝、労いには飢えてます。具体的な士業の活用の前に、まずはこういった士業の性格特性を知っておきましょう。もちろん、全員がそうだとは言えませんが、プロ士業でも普通の士業でも、基本的な性格構造はこんな感じです。

ただし、士業もバカではないので、表面上の言葉にも敏感です。テクニック的なアプローチは嫌われますので気をつけましょう。前述のように、基本的には勤勉な人種です。最近ではコーチングやコミュニケーション技法などを積極的に学ぶ士業も多いので、心からの気持ちで伝えるようにしましょう。

試験合格組でない士業は避けるべき?

士業の資格取得方法は大きく2種類に分かれますが、ほとんどの士業が試験合格組です。普通に国家試験を受けて、合格して資格取得。諸々の開業要件を満たして開業。これがスタンダードな士業のなり方です。

一方で、試験合格組ではない人たちもいて、士業の選び方や資格に関する本では、たいがい「試験合格組でない人は注意」と書いています。ご丁寧に、税理士は大学院に行くと試験科目が免除されるとか、行政書士は公務員として20年勤めればもらえるとか、その合格過程を非難していることが多いのです。

しかし、資格の取得過程は、正直どうでもいい。先の行政書士の事例よろしく、税務署を勤め上げた人も税理士となる資格を得ます。当然、税務の実務知識なんてありません。でも、その人が経験を生かして節税や税務調査で圧倒的な実力を身につければ、資格取得の経路なんてどうでもよくないですか?あくまで、資格を取るというのはきっかけなので、資格取得の方法は、正直どうでもいいのです。重要なのは「実力があるか否か」、きちんと実力を見極めること。これだけです。

士業の育て方とは?

プロ士業を活用するもう1つの方法、士業を「育てる」とはどういうことなのでしょう。これは、簡単に言ってしまえば、有望な若手士業がいたら、あなた好みに育ててしまうという方法です。

どの士業でも、開業1年前後が良いでしょう。そういえば、お伝えしていなかったですが、士業の選択に年齢は関係ありません。無駄に歳を取っているだけのベテランもいれば、若くて経験が浅くても、驚くほど優秀な士業もいるのです。育てるなら基本は若手。できれば20代が良いでしょう。目をかけてあげて、報酬額も少し多めに払ってあげる。そして、これからの成長に期待していることを伝える。

そうした開業時の恩は、忘れないものです。私も20代前半で開業したので、多くの経営者に助けていただきました。実力も経験もない私に目をかけてくださって、時には食事をごちそうになったり、時には頼まなくても良いような仕事を振ってくれたり…私はそんな経営者に全力で応えました。そして、いまの自分があるのです。

選び方として、性格の相性はあなた好みの人を選べばいいとして、適性的には「素直」「誠実」「熱意」「将来の目標がある」こんな人を見つけたら、あなた好みに育てていくのもひとつの選択肢。時間はかかりますが、将来的にはびっくりするような報酬で、あなたの会社を助けてくれるようになるかもしれません。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 WORKtheMAGICON行政書士法人代表 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2023年12月15日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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