臨場感ある文章は読んでいて楽しいものです。

皆さんは、「犬の鳴き声を表現してください」と言われたらどのように答えますか。おそらく「ワンワン」と答える人が多いと思います。「猫の鳴き声を表現してください」と言われたらどう答えますか。「ニャーニャー」が多いはずです。

akiyoko/iStock

「オノマトペ」は感情に伝わりやすい

このような、動物の鳴き声やしぐさといった、音・動きなどを文字にした言葉のことを「オノマトペ」と言います。今回は文章術に関するエッセンスを紹介します。

Apple社創業者でもあるスティーブ・ジョブズはプレゼンの天才と言われましたが、必ず「オノマトペ」を使っていました。画面をスライドさせるときに、「ブン」「ボン」などの言葉を使い、聴衆がイメージしやすいように伝えていたのです。

読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんは、「ビューッと来たら、バシンと打て」というようなアドバイスを、独特の抑揚をつけて、身ぶり手ぶりで教えていました。

「オノマトペ」には、読者の感情に訴えやすくなるという大きなメリットもあります。言葉で映像をイメージさせるのに効果的なのです。日本語は「オノマトペ」の種類がとても多いのです。

〈擬音語・擬声語〉実際の音を描写した言葉 メーメー、ブーブー、ドクドク、ガチャン、ゴロゴロ、ガタンゴトン、パチパチ、チャリーン、ドカン、ズズー

〈擬態語〉身ぶりや状態、様子、感情などを音で表した言葉 バラバラ、メロメロ、モクモク、キラキラ、ギラギラ、ピカピカ、ワクワク、ドキドキ、たっぷり、きゅん、じーん、ムラムラ

擬声語、擬態語は臨場感や躍動感を演出するにはもってこいの言葉で、読者に強い印象を与えることができます。例えば、「梅雨に入り、雷の音がする」というより、「梅雨に入り、ゴロゴロと雷の音がする」と擬音語を入れただけで、より季節感がでます。