黒坂岳央です。

一般社団法人「日本生活習慣病予防協会」の調査によると、内科医・産業医・整形外科医など330名の医師の内、8割以上が「40~50代でフレイル/フレイル予備軍が増加した」という。

フレイルとは医学用語で、簡単にいえばフレイルとは「要介護もしくはその予備群」と定義される。40代-50代といえばまだまだ働き盛りで医学的には若い年代のはずであり、要介護ときけば70代以降の話と感じる人も多いのではないだろうか?比較的若年層に増える要介護の足音、その原因はリモートワークである。これを続ければ文字通り、寿命を縮める結果が待っている。

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コロナ禍はまだ終わっていない

世界的にリモートワークを促進するきっかけとなったコロナ禍、2類から5類になったことでもう終わったと考える人も増えた。観光地にいけばどこも大勢の人でごった返し、あちこちでお祭りやリアルイベントが開催されそれまでの自粛を吹き飛ばすような活気を感じる。

しかし、ことワークスタイルについていえば未だにコロナ禍は終わっていない。観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると出張需要は2020年に大幅に落ち込み、現在でもコロナ前の水準に戻っていないのだ。これはリモートワークやオンライン会議などが広がったことで、わざわざ現地に体を持っていかなくてもリモートで済ませていることの表れである。

落ち込んだのは出張需要だけではなく、出社需要も同様だ。コロナが明けてもワークスタイルはリモートワークが続いている企業は一定数存在する。そして在宅勤務で働くワーカーの健康は静かに蝕まれているのだ。

栄養不足より深刻な運動不足

人間の体は食事で作られている。歴史的には飢餓状態が続いたために、人体は不足より過剰に弱い。そのため、少々食事量が少なくてもたちまち不健康になることはないし、人間には食欲があるため少なくとも食事量の欠乏による栄養不足は自然に是正される。

一方で運動不足は極めて深刻である。運動については食事ほど重要視する人は多くなく、また食欲と違って運動欲などはない。そのため、仕事や家事の忙しさを理由に、年単位でろくに運動をしない状態を続けられてしまう。

実際、筆者は2020年にあまり運動をせず仕事と育児に追われていたので、健康診断でそれまで見たことのないひどい数値を突きつけられて仰天した。そこから一発奮起して毎日ウォーキングをして体重も健康診断の数値も正常化、最近は筋トレを始めたことでようやく完全に健康を取り戻すことができた。

だが、誰もが同じようにできるとは限らない。特にリモートワークでもハードワークするサラリーマンの立場だと、運動する時間があるなら仕事をしたいと考える人は多いはずだ。運動はどうしても優先度は後になり、そして慢性的運動不足からフレイル、フレイル予備軍になる。