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1月25日のScience誌Expert Voices(専門家の声)欄に「Toward the eradication of medical diagnostic errors」という論文が報告されている。タイトルを訳すると、「医療現場での診断ミスをなくすために」となる。著者は、私が和訳した「Deep Medicine」を著したEric Topal教授だ。

このブログでも取り上げたことがあるが、米国では診断ミスによって、毎年80万人が、命を落とすか、治療不能な後遺症を残すと報告されている。「診断ミス」という言葉は医療現場では、「起こってはならないこと=論じてはならないこと」のように扱われている。40歳未満の心筋梗塞は見逃されやすいし、肺栓塞が肺炎と診断されることも少なくないようだ。

診断ミスの最大の要因は病名が思い浮かばず、それに伴って適切な検査の指示ができていないことだ。もちろん、思い込みという人間としての本質的な課題がある。

脳の思考過程にはシステム1思考とシステム2思考のあることが知られている。システム1思考は、速く、自動的に、頻繁に、感情的に、固定観念的に、無意識に行われるもので、ヒューリスティック思考と呼ばれる経験や先入観に基づく直感的な思考法(思い込み)に近い。1月2日に起きた日航機と海上自衛隊機の事故も、機長たちと管制官の思い込みがその原因として大きい。