1. 器の大きさを感じさせる

    人は誰しも他人にバカにされたくないと思っている。誰にとってもお金や時間は貴重な資源であるが、時に自分の名誉はそれらを上回る価値があると考える人も多い。だからお金や時間を奪われるより、相手の名誉を傷つけることの方が強い恨みを買うことだってある。相手の名誉の取り扱いには注意が必要なのだ。

    失敗談を自ら語る人間というのはその本能に逆行している。普通は隠したくなるような話を自ら曝け出す。これは「信用>名誉」という経済界の本質を理解していなければできることではない。聞いている側にもそれが伝わるから「この人はよくこんな辛い体験を話してくれたな」と器の大きさを感じさせるのだ。

  2. 人生経験の多さ

    お金や時間ばかりが価値として見られがちだが、中高年になると「人生経験」も格差を感じさせる対象となる。若い頃は誰もが全能感があり、「その気になればいつでもなんでもできる」と考えてしまうが、中高生で家族を持つとなかなか難しくなる。実年齢にコンプレックスを感じ、挑戦の一歩を踏み出す勇気を持てない人は多い。特に失敗することは誰しも怖い。だから年を取るほど失敗経験が乏しくなり、失敗談を語れるネタが枯渇する。

    一方で赤裸々な失敗談を語れるということは、それだけたくさん挑戦をしたという証拠である。失敗を語れるというのは自己肯定感、行動力、言語化能力など複数の能力がないと絶対にできないことであり、お金や時間だけあってもできることではない。それが能力の高さ、人生経験の豊富さを示す根拠になっている。

    自分は意識的に成功談ではなく、とにかく失敗談を出すようにしている。時間と労力をかけて成功談を出し、それが聞く相手の癪に障って人が離れることを繰り返す論理的メリットはない。失敗を多く語るのは誰でもできるように見えて、その実意外に奥が深いのだ。

     

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