「常にデジタル記録されている」という意識を
「今の時代、目に見えないカメラとマイクが常に回っていて、人前でキレたら晒されてしまうリスクがある」くらいに意識せよというのは、筆者からの大げさな主張だろうか?実際、ほとんどの人はカメラとマイク付きのスマホを持参しているわけで、人の往来が激しい東京の都心などは、周囲360度を実質的に個人ジャーナリストに囲まれているようなものである。店内や電車内で怒りを露わにする老人が、動画サイトやSNSで頻繁にその様子を晒されている。自分が晒される側にまわらないためには、公共の場でキレてはいけないのだ。
筆者の場合はさらに慎重に行動している。顧客とのEメール、Lineのやり取りも、万が一相手からネットに晒されても問題が起きないよう意識して書いている(そもそも、ビジネスでキレることなどしないが…)。キレたらダメなのは書き言葉でも同じで、相手を罵ったり下に見る発言は命取りになる。筆者は英語を教えている立場だが、「以前、他の英語教師から教わっていて、こんな暴言を吐かれた。」とその講師からのメッセージをキャプチャしたものが送られてくる場合もあった。
リアルでもネットでも、公共の場において一挙手一投足は見られている、デジタル記録されている可能性があると意識し、絶対にキレてはいけないのだ。
◇
今回はキレることで社会的不利益を被る話を展開した。だが、キレることのデメリットは告発リスクを被るだけに留まらない。キレると思考力が極端に落ち込み、どうあがいても不利になってしまう。感情がロジックに先行するために、長期的展望を描くことができない。能力の低下は避けられず、デメリットしかない。
いつの間にか、我々はキレることが許されない社会へ足を踏み入れていたのだ。
■最新刊絶賛発売中!
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
■YouTube動画で英語学習ノウハウを配信中!
文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?