DjelicS/iStock

著者は、国内外10カ国で約20年にわたり、外資系の戦略コンサルタント、多国籍企業のマーケティング、新規事業の立ち上げなど、多彩なキャリアを経てきました。エグゼクティブコーチとして独立後、「仕事のスピード」に悩む日本のクライアントが多いことに気づきます。

「結果を出してサクッと帰る神速時短」(ヴィランティ牧野祝子著)すばる舎

なぜ先延ばしをしてしまうのか

夏休みの最後の1日ではなく最初の1日で片付けてしまえばいいと思いませんか。それはできないのです。限界状況に追い込まれた人間が、実力以上の力を発揮することは、昔から知られていますが、それはなぜでしょうか。

人間は、追い込まれたときに、最高のパフォーマンスを発揮できるように設計されているのです。ピンチに陥ったときには、ノルアドレナリンが分泌されます。正しい判断を瞬時に下せるように、脳が集中力を一気に高めていると考えられます。ノルアドレナリンが分泌されると危機回避や緊急事態対応が可能になるのです。

たとえば、オフィスが火事になったとします。アナタは資料の作成中です。このときに、「資料を作成してから避難する」人はいないと思います。資料をかかえて階段を駆け下りていくことでしょう、ノルアドレナリンによって危機回避や緊急事態対応が可能になるのです。

仕事をしていても成果が上がらないと努力そのものがバカらしくなるものです。努力をしても何も変わらない。そうなると、他のものに関心が移ってきます。パフォーマンスはドンドン下がっていきます。

ヤバイ!ようやく気が付けばまだレールに戻ることはできます。気付きがあれば、新たな学びを吸収することが可能です。これは、誰もが陥る仕事のワナですが、それを経験しないと根本から変えることはできません。いかにも日本的ですが、仕事術や時間術は、最初からわかっていたほうが間違いなく得策ともいえるのです。