企業が商品を製作し、それが顧客のもとに届けられて、そこに顧客が価値を見出すとき、商品の価値が創造されるわけだが、商品価値の創造に至るまでには、原材料費から販売管理費や金利に至るまで、多種価格に安い高いはなく単に適正さがあるだけだ。

これらのコストの総額と商品の販売額の総額の差が資本利潤になるが、実は、資本利潤も、資本の利用に要するコストである。資本は、一時的な損失を吸収するものとして、重要な経営資源なのであって、企業は、投資家から資本を調達していることに対して、資本利潤、即ち、資本の利用料を投資家に還元しなければならず、故に、資本利潤は資本コストと呼ばれるわけである。

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さて、資本コストという表現だと、資本利潤は少ないほうが望ましくならないか。普遍的な原理として、価格は、買い手にとっては低いほうがよく、売り手にとっては高いほうがいいので、資本についても、調達側の企業にとっては、資本コストは低いほうがよく、供給側の投資家にとっては、資本利潤は高いほうがいいのであって、資本だけを特別扱いにする合理的な理由はないが、伝統的には、資本を中心にする考え方が定着していて、企業経営の目的は、投資家から調達した資本に対して、より少ないコストを付加して、より大きな資本利潤を生むことだと考えられてきたのである。