競り合うこともできなかった日本代表
しかし、マイボールにできずスローインを献上します。ここからはバーレーン代表はボールを大切に展開し、ややペースを落とし日本代表DFを前に引き出しながら中央に放り込むチャンスを狙っていました。
そんな中、58分、バーレーン代表左サイドから長身FW9番をターゲットにゴール前中央に放り込まれてしまいます。ヘディングシュートはジャストミートしなかったので救われましたが、日本DF数的優位を作っていたものの、競り合うこともできずにヘディングを許してしまっていました。そして、こぼれ球は再びバーレーン代表に回収されます。
このあと、バーレーン代表のパスミスで一旦は日本代表ボールになります。しかし、再びバーレーン代表ボールとなり、右サイドを攻め込まれてコーナーキックを献上してしまいます。
そして、63分、右コーナーからシンプルに放り込まれ、ファーサイド(日本の左サイド)にはなぜか4番の選手がフリーで待ち構えてヘディングシュートを放ちます。日本代表DFはここでも競り合いさえできていませんでした。
このシュート、GK鈴木彩艶が真上に弾いてしまいます。後ろに弾いていれば、コーナーキックを献上するものの失点リスクは下がったのですが、真上に弾いたボールは当然ゴール前に落ちてきます。
カバーに入ったFW上田とGK鈴木がお互いに邪魔し合う形となりました。最後は上田のオウンゴールという形で追随を許してしまいます。
「1点献上」も巻き返せる選手と采配のクオリティはあるが、イラン代表に通用するか?その後は右サイドで毎熊が見事なカットインキャンセルのフェイントで上田にパス、上田も毎熊とよく似たキャンセルのフェイントでゴール前に抜け出し3点目を奪います。ゲームの締めを考えた選手交代も功を奏して、見事な勝利となりました。巻き返せる選手も采配も素晴らしいクオリティと言えるでしょう。
しかし、サイドのスペースが空きやすい、シンプルなゴール前の放り込みに弱い、という日本代表の弱点が再び目立ったゲームでもありました。次の勝利に向けてどうすればよいのでしょうか?
森保ジャパンは敵に弱点をつかせないためには、そもそもボールを持たせないというボール保持率の向上、仮に持たれても狙い通りに放り込ませないプレッシングの強度向上、冨安健洋や板倉滉などハイレベルなセンターバックによるスペースのカバー、などを目指しているようです。
しかし、バーレーン代表よりも地力もクオリティも高い相手に弱点を抱えたままで勝ちきれるか…、ここが次のイラン代表戦以降の見どころになるでしょう。
イラン代表戦は10倍楽しもう!!さあ、次のイラン代表はこれまでの相手とは別次元のクオリティを誇るチームです。日本代表の弱点を巧妙に、なおかつ鮮やかに突いてくることでしょう。日本代表はこれをどのように跳ね返すでしょうか?
サッカーは攻撃も華ですが、守りにも華があります。そして、その連動が理解できると観ていて10倍楽しくなります。さあ、地上波放送もはじまることですし、次のイラン代表戦、単に勝利を祈るだけでなく、その攻防も含めて10倍楽しみましょう!!
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杉山 崇(脳心理科学者・神奈川大学教授) 1990年代後半、精神科におけるうつ病患者の急増に立ち会い、うつ病の本当の治療法と「ヒト」の真相の解明に取り組む。現在は大学で教育・研究に従事する傍ら心理マネジメント研究所を主催し「心理学でもっと幸せに」を目指した大人のための心理学アカデミーも展開している。 日本学術振興会特別研究員などを経て現職。企業や個人の心理コンサルティングや心理支援の開発も行い、NHKニュース、ホンマでっかテレビ、などTV出演も多数。厚労省などの公共事業にも協力し各種検討会の委員や座長も務めて国政にも協力している。 サッカー日本代表の「ドーハの悲劇」以来、日本サッカーの発展を応援し各種メディアで心理学的な解説も行っている。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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