今から30年も前、私は宗教については疎かったと思います。会社で送るクリスマスカードは日本の年賀状のようなもの。カードにはメリークリスマスと記してあり、従業員が皆でサインしたものを取引先に送るのが普通でした。当時、有力取引先にユダヤ系がいくつかあったのですが、それを見過ごし、同じカードを送ってしまったのです。もちろん、先方からは何も言われませんでしたが、ずいぶん失礼なことをしたと反省したものです。
あるユダヤ人とは私がカナダに到着したDay1からのディープな付き合いです。彼が無知な私をハヌカのお祝いの際、家に招待してくれました。伝統的なそのスタイルを教えてもらった頃からユダヤを意識するようになりました。その彼とは今でも年に1-2回会う関係です。他にもユダヤの知り合いは多いし、北米でユダヤ人の存在感は政治経済に於いて非常に重要である故、今回の事態は実に悩ましいところであります。
ユダヤ人が嫌われる、という話はご存知かと思います。とくに有名なのがホロコーストでナチス、ヒトラーによるユダヤ人の弾圧は酷いものでした。ですが、ユダヤ人は太古からその宗教観ゆえに他の民族とは一線を画していました。そのユダヤ人も負けず嫌いで常に主張をし続けることからしばしばアーリア人と確執が起きたわけです。アーリア人の話は先日、このブログで書きましたが、中央アジアに起源があり、南に渡ったインド系と西に渡ったヨーロッパ系に分かれたあのアーリア人です。
私がユダヤ人の彼と10年間、仕事を一緒にした中で時々耳にしたのは「ユダヤ人は嫌だよな」という囁きでした。彼の仕事が強引、かつ論理の押し付け、相手が首を振るまで動かない、という姿勢が相手方からすれば「勘弁してよ」という嘆きになるわけです。多くの成功したユダヤ系の方は押しが強いはずです。日本の中では「ユダヤに学べ」という書籍が山のように出版されていますが、そんな美しい話ばかりではないのです。