今は教科書会社のサイトだけからデジタル教材が提供されている。しかし、タブレットはネットにつながっているから、ネット上の膨大なコンテンツにもアクセスできる。しかし、そんなコンテンツの中には、意図的に間違った情報を提供しているものがある。

点検済みで正しい情報を提供するデジタル教材を利用し続けることで、コンテンツの真贋を読み取る力が子どもたちに育つのだろうか。そもそも「正しい」というのは、今の時点では正しい程度でしかない。あらゆる科学技術分野で、従来からの定説が崩れる事態は、しばしば起きる。

紙の教科書は廃止し、デジタル教材へのリンクが豊富なデジタル教科書を全面的に利用する。デジタル教材の内容に対する責任は教科書会社が負う。教科書会社は、自己点検や外部からの意見に基づいて、いつでもデジタル教材を修正できる。

そのうえで、コンテンツの真贋を見抜く能力を育てる教育を強化する。たとえば、一次情報を探すのも大切だし、一つの情報源だけでなく多数の情報源を調べることも、情報はうのみにせず批判的に読むのがよいことも、教えておかなければならない。

こうして、教育のフルデジタルへの転換が進む。朝日新聞にはここまで考えて社説を載せてほしかった。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、4月12日に谷脇康彦氏を講師にお招きして、セミナー「データ駆動型社会への転換」を開催する。朝日新聞の皆様も含め、多くの方々に参加いただきたい。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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