しかし、不祥事が公になる度、「自分は外部コーチで、学校の中での案件とは無関係」と“逃げの一手”に終始する。言行不一致とはまさにこのことではないのか。サッカー部総監督という立場と公務員としての立場を行ったり来たりして、結局は自分を守っているように受け取れる。
県が大津高を強化することの意図は
大津高は、県立高校でありながら未だに専用の練習場を持たず、県内の陸上競技場やサッカー場を間借りしているJ2ロアッソ熊本もうらやむような練習施設を持ち、スポーツ推薦による越境入学によって強化を図ってきた。まるで、知名度を上げるためにスポーツに力を入れる強豪私学のような施策を県民の税金で行っている。ホームページ上では同校のグッズを販売し、活動費としてスポンサーの募集までしている。
熊本県および教育委員会が、そこまでして同校サッカー部を強化することの意図はどこにあるのだろうか。サッカー県としての知名度アピールであれば、ロアッソ熊本を活用した方が有効的なはずだ。
その上、中学生年代で九州最強を誇る「ソレッソ熊本」の卒業生は、ロアッソ熊本ユースではなく、大津高への進学を選ぶ選手が多い。結果として3桁にも及ぶ部員を抱えることになり、その多くは3年間で一度も公式戦に出場できないまま卒業することになる。多過ぎる部員を管理し切れなかった結果が、不祥事の続発なのだ。
しつこいようだが、同校は県立高校だ。しかも特進コースの生徒では、大阪大学や早稲田大学への進学実績もある。今さら知名度アップのため、私学のような強化をする必要性を感じないのである。生徒たちがサッカー部や同校の上層部から学べることがあるとすれば、世の中の汚さや、保身に走る大人たちの姿という皮肉な結果となってしまっている。それも、教育といえば教育なのだが…。
大津高からは、高円宮杯ファイナルでも先発出場したMF嶋本悠大の清水エスパルス入りが内定している。嶋本はインスタグラムのアカウントを2つ(本アカと裏アカ)持っているが、双方ともサッカー一色の生活が見て取れることから、ひとまずは安心して良さそうだ。