熊本地裁での罪状認否で、被告の元部員の1人は「発言は一切言っていないし、要求もしていない」、もう1人も「全裸と土下座は強要していない」と発言。2人の弁護人は「共謀した事実も、要求した事実もない」と、無罪を主張している。
検察側は冒頭陳述で、当時サッカー部には約160人の部員がおり、上級生には下級生に対し一発芸をさせたり、容姿に関連した悪意あるあだ名を付けたりするなど、理不尽な要求をする風潮があったと指摘。全裸で土下座した場面は2年生がスマホで撮影していたが、被害者とは別の1年生の抗議で削除したことも明らかにしている。
この問題では、熊本県教育委員会も「いじめ防止対策推進法」に基づいた重大事態と認定。熊本県警も2人を書類送検し、熊本地検が在宅起訴した。しかし事件が表面化した当初、学校側は第三者委員会を設置したものの「サッカー部の中で起こった事案で、学校としてはその生徒たちの活動に制約をかける考えはない」とコメントし、責任逃れに徹した。
周囲からの反発を受け、平岡和徳総監督は自粛、山城朋大監督は一時的に“辞任”という形で指導を離れ活動を休止。しかしサッカー部の活動も2週間足らずで活動再開し、“晴れて”全国高校サッカーへの出場を決めた。そして山城監督もたったの2か月で監督に復帰している。
記者会見の場で同校の高野寛美校長は「今回のいじめの問題がすべて解決しているとは思っていない。大変、重く受け止めていることを踏まえて大人が責任を取らせてもらい、指導の自粛を決定した」と説明したが、その言葉は説得力に欠く。なぜなら、大津高サッカー部が問題を起こしたのは、これが初めてではないからだ。
今年5月には、サッカー部員を含む複数の生徒が喫煙や飲酒などをしていたことが明らかになった。同校によると、学校に対し「生徒が飲酒や喫煙をし、パチンコ店に出入りしているのではないか」と情報が寄せられ学校側が調査したところ、サッカー部員ら約10人の生徒が、飲酒や喫煙、パチンコ店への出入りを認めた。