日本人カニバリズムの世界

 ドキュメンタリー映画『カニバ パリ人肉事件38年目の真実』は、第74回ヴェネチア映画祭でオリゾンティ部門審査員特別賞した作品だ。パリ留学中の1981年、佐川一政はオランダ人女性を射殺して屍姦のち遺体を食す猟奇事件を起こした。この事件には戦慄とともに恐怖しかない。しかし、人肉食の恐怖は日常生活に潜んでいる。「手首ラーメン事件」である。

 事件は1978年、暴力団の抗争によるバラバラ殺人事件の遺体が西日本山中で発見されたことに始まる。しかし手首だけが見つからなかった。捜査の結果、指紋で身元バレするのを恐れた犯人が処理に困り、シノギのラーメン屋で手首で出汁をとったと供述した。当時、それとは知らず手首出汁のラーメンを食べた人がいるかもしれない。

なぜヒトはヒトを食べたのか? 明治時代のヤバイ禁止令、骨噛みの風習…共喰いの禁忌
(画像=1557年にブラジルで行われたカニバリズムを描いた絵画 セオドア・ド・ブライ – File:Sao Paulo, Brazil 1312423 73.jpg, Photography by Wilfredor, パブリック・ドメイン, リンクによる、『TOCANA』より 引用)