古今東西、人肉食が広く分布していたことは有名である。一般に「カニバリズム(cannibalism)」とは、人類の共喰いを意味している。欧州、南北アメリカ大陸、アフリカ、アジア、オセアニアと歴史上どこへ行っても、その事例は枚挙に暇がない。人類は人類を食べてきたのだ。

欧米で千年前に流行った共喰い

 現在、世界をリードする「文明的」な欧米諸国だが、たとえばスペインの先史人類は敵対部族を殺し、人肉を食べたことが考古学的に判明している。また十字軍が遠征先の現地住民を殺して食べたこと、修道士たちが聖人トマス・アクィナスを調理したことは非常に有名だ。イエス・キリストでさえ「人の子の肉を食べ、その血を飲む者は」と象徴的に語ったが、当時のローマ帝国では「キリスト教徒は他人の赤子をさらい秘密の晩餐にて、その肉を貪り、その血を啜る」カルト集団として認知されていた。もはや欧米において人肉食が流行っていたと考えても不思議ではない。