比較的貧しい人たちのギャンブル熱とは時間の使い方が貧しいということかと思います。教育が大事という話をするのは教育レベルが十分にないと根気がなく、挑戦もせず、堕落的な生活に走りやすいということだと考えています。新しい世界を開拓したり趣味を追求するのも苦手という方が多いと思います。

ストレス過多は言うまでもなく一種の現代病ですが、私の仮説はストレスへの耐性が下がっている気がする点です。つまり、我々昭和の中期、ないしそれ以前に生まれた人たちはいわゆる困苦な生活を知っているので我慢するチカラがあるのです。ところが現代社会は生活環境の向上と共に一人っ子育ちで甘やかされてきたこともあり、社会の理不尽さに参ってしまうわけです。私には特に女性にその悩みを抱えやすい傾向がある気がします。ギャンブルはそれを忘れさせてくれる、というわけです。

金銭的欲求の充足をギャンブルで達成することは至難の業だと思います。しかし、我々が年末ジャンボ宝くじに長蛇の列をなして購入するのと同様「楽して儲ける」「運をつかむ」ことを人々は願っているのです。ある確率論者が宝くじほど勝率が低いものはないと述べていたのですが、人間の心理とは確率論で示される合理性を必ずしも持ち合わせず、自分なりの理由をつける傾向があると考えています。

緩和的社会のトレンドという点は上述のエコノミスト誌も指摘しています。記事には「米国におけるセックス、ドラッグ、アルコール、ギャンブルに対する姿勢は、清教徒時代に根ざした禁欲的な価値観によって形作られてきた」とあります。つまり禁欲の時代から一定の規制をしながらも自由を追求するというわけです。これはアメリカに限らず世界中ほぼどこでも同様の傾向はあります。

とすればギャンブルのみならずより快楽的、享楽的で刺激を求める傾向は続くと思います。アメリカでは連邦レベルでの大麻の合法化議論が浮かんでは消えという状態ですが、実態としては合法化が欧米のトレンドになりつつあります。