これは、「カルメ焼き」が膨らんで固まる過程と似ています。

カルメ焼きでは、砂糖を熱して溶かした後、重曹を入れて素早くかき混ぜることで膨らんで固まりますが、ヘビ花火でも同じように膨らんでスポンジのように固まります。

ちなみに、ヘビ花火が上方向にまっすぐ伸びていくのは、発生したガスが上昇しようとして、溶けた砂糖を上に押し上げるからだと考えられます。

また燃焼が進む方向も関係しており、熱が伝わる方向に従って、反応が連鎖的に進行していきます。

このように、いくつかの要素が、私たちの目を引くヘビ花火を生み出していたのです。

製品としてよく見かけるヘビ花火は、手作りのヘビ花火と使用されている成分こそ異なるものの、原理は同じです。

では最初に提示した画像の無数の黄色い触手がニョロニョロ生えてくるような現象は、どういう理屈になるのでしょうか。

最初のヘビ花火「ファラオの蛇」

ヘビ花火の反応を初めて発見したのは、ドイツの化学者であり、「有機化学の父」とも呼ばれるフリードリヒ・ヴェーラー氏です。

彼は1821年に、チオシアン酸水銀(II)をブドウ糖などの補助燃料で点火することで、チオシアン酸水銀(II)が分解し、ミミズのように伸び、元の体積の何倍にも膨れ上がることを発見しました。

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よく見るGIFは、最初のヘビ花火「ファラオの蛇」だった!?

この画像のような黄色のヘビ花火がそのオリジナルと近いものであり、当時、「ファラオの蛇(Pharaoh’s snake)」という名の花火製品として流行しました。

メカニズム自体は砂糖と重曹のヘビ花火と同じであり、燃焼による「ガス」と「層状構造物の形成」の同時発生で膨張していきます。(色の違いは成分の違いによります)

しかし、この反応の際に発生する水銀蒸気は有毒であり、最終的には禁止されました。

現代では、砂糖や重曹の代替品によって、誰もが簡単にこの現象を楽しめます。

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現代では安全にヘビ花火を楽しめる / Credit:Canva