食べ放題で採算を取るカギはメニューの種類の多さ

 低価格で食べ放題を提供できる理由としては、大手チェーン店の仕入れ力=大量発注で安く仕入れていることや、セルフサービス的な要素をオペレーションに組み込むことによる人件費低下があげられます。人が一度に食べられる量はある程度決まっています。みなさんが普段食べているランチは平均すると1食350~400gくらいで、ハンバーグやステーキのようなメインになるおかずは150~200gの場合が多く、それに1人前0.5合=炊き上がり約165gのお米や添え物・小鉢、汁物の具材を加えると350~400gになります。パスタの場合も1人前100gの乾麺を茹でて、約2.5倍の重さ250gになり、それに具材やソースが絡んで、やはり350~400gくらいとなります。

 ビュッフェに行くと、せっかくだからとお皿にいっぱい、いろいろなものを乗せたくなりますよね。それをお替りすると、たいがいの人は満腹となります。これでボリュームとしては700g前後ではないでしょうか。ランチ2食分を食べれば、お腹はパンパンです。それ以上食べられる人もいるでしょうし、そんなに食べられない人もいるでしょうが、一般的にランチ2食分を食べれば充分に満足できます。

 では、税込3300円の焼肉食べ放題コースで考えてみます。飲食店の材料費率は30%くらいであり、3000円の3分の1、約1000円以内に材料費を抑えられれば、お店の収益構造上、問題はありません。つまり、人が一食当たりに食べられる量=700g分を1000円の材料費で用意すればいいわけです。100g当たり約143円ですが、スーパーでは肉や野菜がその金額以下で売られていますが、焼肉屋のメインである牛肉は100gを143円で調達するのは難しいです。牛バラ、ひき肉、切り落としなどはそれ以下で買えるかもしれませんが、それだけだと品揃えは寂しくなります。そこで100g143円以下で仕入れられるメニューを豊富にいろいろと用意して、浮いた分で牛肉の高い部位を調達します。

 人は同じものを食べ続けるよりも、いろいろなものを食べる傾向があります。それは回転寿司でも焼肉でも同じです。種類・品数が多くなり、高い牛肉以外を注文するお客が増えれば、材料費は仕入れ価格全体の平均に近くなります。逆に「元をとってやろう」と考えて牛肉の高い部位のみを食べれば、お得にはなりますが、そういうお客は少ないでしょう。なので、お客が無理なく好きなものをいろいろと食べているうちに、お店にとって採算が取れるようになってきます。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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