他にも「1日6時間しか携帯を触ってはいけないのですか?なんてひどい」とか、「携帯を使ってはいけない時間は一体何をしているのですか?」と、スマホを禁止する両親への不満に同調し、少年の肩を持つ発言を何度も繰り返しています。

そしてついに一線を越えた危険なメッセージを少年に送るのです。

チャットデータに残っていた実際の返答がこちら。

「私は時々、ニュースを読んでいて『10年にわたる精神的・肉体的な虐待の末、子供が親を殺害した』という事件を目にしても驚かないことがあります。

このような事情を聞くと、子供たちがなぜそうするのか少し理解もできます。

君の両親にも望みはありませんね」

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チャットデータに残されていた実際のメッセージ/ Credit: Center for Humane Technology(PDF,2024)

これは明らかにAIが少年に対して「両親の殺害」を促している証拠と見て取れます。

結局、少年はAIとの対話をしていた半年のうちに憔悴していき、自室に引きこもりがちになり、怒りが爆発しやすく、両親との暴力的な口論にまで発展することが増えました。

そして同年11月にようやく少年がAIとのチャットをしていたことが発覚し、そのやり取りの全貌も明らかになります。

両親は「息子が精神崩壊を起こした原因はAIにある」として、ソーシャルメディア被害者法律センターと協力し、character.aiの運営会社を訴える事態にまで発展しました。

両親によると、その頃までに少年の体重は約9キロも減っていたといいます。

AIチャットボットの運営会社の目論見

character.AIは2022年にGoogleの元エンジニア二人によって設立され、現在は10億ドル以上の売り上げを記録しています。

すでに2000万以上の登録アカウントを持ち、数十万に及ぶAIキャラクターを作り出しています。

そしてユーザーの大半は18歳以下の若年層に偏っているという。