黒坂岳央です。
以前、ビジネスマンと仕事の話をしていて常に変化する重要性についての話題になった。その際、「コンフォートゾーンを抜けるのは難しいからね。貧乏人だって貧乏が好きだからこそ、ずっと貧しいわけで」という返しがあり、この言葉が強く印象に残った。
自分自身が相当な貧乏だったので、この言葉には思い当たる節があるのだ。
※本稿は貧しい人をバカにするつもりはなく、自分自身の貧しい体験を用いて心理状態を考察し、問題提起する意図を持って書かれた。
貧乏生活は充実している今の自分は貧乏ではなくなったものの、かつて貧乏だった生活を振り返ると「精神的に卑屈で、他者への僻みがすごくて、SOSを出しても誰にも届かず…」といったネガティブなものではなかった。正直、貧乏生活はかなり楽しく充実していた。
休日の朝からスーパーの無料給水サービスを使うために家と店を2往復したり、1円でも安いスーパーへ自転車で遠出をする。家庭菜園に興味を持ってミニトマトの種をホームセンターに見に行き、節約レシピを研究する。年末年始の単発バイトなど「時給の高いおいしい仕事」をつまみ食いしてまわり、キャッシュバックキャンペーンをはしごする。
すべては徹底して節約したりお金を貯めるための技なのだが、新たな節約技を閃いたり、安い店を探して開拓して遠出するなど創意工夫があってとにかく楽しかったことを覚えている。
楽しくも、正直こうした節約を積み重ねても決して豊かになることはできない。多少節約したところでたかが知れている。月3万円の出費を半分にするより、月20万円の給与をスキルアップして40万、50万円にする方が節約の手間も時間もかからず、しかもその効果は永続する。今の時代なら副業だろう。やるべきは節約より収入を増やす努力だ。
だからやるべきは目先の細々した節約で時間を取られるのではなく、仕事の収入を増やすことである。筆者はスキルアップの勉強もしていたが、節約や創意工夫自体もとても楽しく、正直それ自体にハマっていた。貧乏生活はクリエイティブに溢れている。だからなかなかやめられない。いや、そもそもやめたいと思っていなかった。この価値観は妻との出会いという外圧で変わったが、自分ひとりではずっと変わらなかったのだと思う。