岡山県北部のまち、津山市を旅しています。
今回津山を訪ねたのは、この時期に開催していた「森の芸術祭 晴れの国・岡山」に参加するためでした。津山市を始め、奈義町や真庭市など美作地方の各所に設けられた施設に展示された芸術作品を鑑賞することができます。
私が訪ねたのは11月23日。芸術祭は24日まででしたので滑り込みセーフでした。実は津山を訪ねたのはこれで4度目なのですが、いつも泊まるだけだったり乗り換えのために駅を利用するのみにとどまっていました。芸術作品を見がてら、生まれて初めて津山の街並みを見て歩くのも楽しみにしてきました。
津山駅から北西に20分ほど歩いた場所にある城西浪漫館。すぐ隣に中島病院がありますが、もとはこの中島病院の本館でした。大正6年の完成で正面にドームを配した屋根や細かい装飾が特徴の洋風建築です。この建物も芸術祭のパビリオンのひとつになっています。
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ビアンカ・ボンディ「森林浴」
部屋に入ればなかなかシュールな光景が目に入ります。部屋の中に苔が生え、植物が生い茂っている光景。なかなかお目にかかることはできません。もちろんこれは芸術作品です。
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ウメッシュ・P・K《点を中心に回転しながら深みへ》
芸術作品の間に、もとの病院時代に使われていた調度品や暖炉などが置かれています。これが作品と妙にマッチして芸術作品の一部を構成しているかのようでした。
続いて向かったのは作州民芸館。この地方の民芸品の紹介やお土産品などを売っているところです。明治42年に土居銀行として建てられたものであり、中は今も銀行の名残が多く残っています。平成9年に国の登録有形文化財に登録されました。この時代に建てられた銀行って洋風建築で重厚感のあるものが多いですよね。
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一目で元銀行と分かる造り。
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片隅には金庫なんかも置かれています。
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ムハンナド・ショノ《意味を失うことについて》
ここにも多くの作品が展示されていましたが、最も目をひいたのがサウジアラビアの芸術家ムハンナド・ショノ氏の《意味を失うことについて》。金属で作られた四つ足の生き物のような機械が砂の上をランダムに動くことによって砂に模様を作っていきます。せっかく作った模様もまた次に同じ場所を歩くことによって新たな模様に書き換えられてゆく、そんな様を無常のもととして描いた作品です。
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川島秀明《Guide》