なぜ、「内戦」と「戦争」の違いに拘るのかと言えば、戦いが終わった後の影響で違いが出てくるからだ。ペトリッチュ氏が指摘したように、「内戦」後の後遺症は「戦争」後のそれより治癒という点でより難しいケースが多いのだ。シリアのように「政治的宗派主義」が強い国の「内戦」は最悪のケースだ。
内戦が終わり、シリアに民主的政権が誕生するまでには長い年月がかかることが予想される。特に、宗派間の戦いが癒されるまで時間がかかるが、身内同士の戦いは和解する以外に他の選択肢がないのだ。たとえ、それが「冷たい和平」であったとしてもだ。
ちなみに、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のアブラハム3宗派が集中する中東では、「内戦」といっても常に「戦争」へと拡散する危険を含んでいる。イスラエルとシリア、イランとの戦争がそうだ。その観点からいえば、中東の紛争は3宗派の”アブラハム・ファミリー”の「内戦」ともいえるのだ。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。