感じたそのままを脳内で編集をせず言葉に出してしまう理由は「このまま発言すると相手に良くない感情を抱かせ、信用を失うことで自分が損をする」という冷静な判断よりも早いからだ。
感情が湧き上がる→ブレーキ→言葉選び→適切な発言
というプロセスにおけるブレーキが弱まることで、思ったままの言葉が出てしまうというわけだ。
精神科医として著名な和田秀樹氏は「肉体や容姿の衰え以上に、真の老化とは前頭葉の衰えのことだ」といっている。前頭葉は感情に強く関与しており、感動がなくなって人生をつまらなく感じ、不安やイライラが増えていくのだ。
前頭葉の老化を止める方法ではどうすれば前頭葉の衰えを止めることができるか?自分の知る高齢者経営者たちはクロスワードパズルや計算ドリルなどの脳トレで盛り上がっている。だが、残念ながら「すでにできることをなぞる」ということをしても前頭葉には効かない。
先ほど述べた通り、前頭葉は感情を司る器官である。ここを鍛えるには文字通り、感情を動かす体験をたくさんして鍛えるしかない。だが、人生経験を積んできた人にとって、これは言うは易く行うは難しである。手軽に手を出せるものはすでに手垢がついているので大した感動はない。かといって新しいことをするのは億劫に感じる。まさにこの「億劫に感じる新しいこと」をすることで前頭葉を鍛えることができるのだ。
個人的には起業や投資がいいと思っている。これらは誰にとっても強く感情が動く体験になる。
たとえばこれまでとはまったく違う分野で起業する。といっても、定年退職後に憧れのカフェや蕎麦屋を開業など大冒険は勧められない。失敗するとダメージが大きいので、もっと小さなスタートだ。たとえば電子工作や基盤の設計をしていた人が、「子供向けの電子工作教室」を開いてみるといったものだ。これなら社会的に価値があり、相手から喜ばれる仕事になる。
また、投資はリスクを伴うのでほとんどの人にとって感情を揺さぶる体験になる。もちろん、やる時はいきなり巨額の資金を投じるのではなく、小さく1000円で始めればいい。