固定残業代に関する誤解、離職率30%はそこまで高くない

 続いては2つ目の特徴「年間休日が116日以下」、3つ目の特徴「平均年齢が28歳以下」、4つ目の特徴「固定残業代30時間以上」について。

「年間休日は、120日が平均的な日数ですので、休みが少ないという点で避けるべき会社の特徴としては妥当かと思われます。次の平均年齢が28歳以下という特徴については、若手が多いとなると、それだけ独り身の社員が多い傾向にあります。したがって、育児や出産などライフステージに合わせた労働環境が整備されていないことも珍しくはありません。たとえば、20代しかいない立ち上げたばかりのベンチャー企業では、そうした傾向はよく見受けられるので注意したほうがよいでしょう。

 固定残業代30時間以上という特徴に関しては、誤解している方も多いので注意してください。固定残業代があるからといって労働時間が長いというわけではなく、例えば30時間以下の残業だったとしても30時間分の給与が払われるので、被雇用者が得をする場合もあるのです。勤怠時間をしっかり管理するとなると、管理コストがかかってしまうので、むしろ先に固定時間分の残業代を支払うかたちのほうが、企業としても効率がいいのです。固定残業代があるかないかで労働環境を判断するのではなく、固定残業代を含めた年収を労働時間で割って『仮の時給』を出してみて、それが平均より高いのか低いのかを判断するべきでしょう」(同)

 5つ目の特徴「3年後の離職率が30%以上」についてはどうか。

「30%という数字は、平均より少し高い程度で、特に避けるべき会社の特徴として挙げるほどのものではないと思います。新卒の3年以内離職率は、直近20年以上大体30%程度を推移しています。離職が多い業界だと、3年以内の離職率は50%となるところもあります。そもそもの話ですが、ポジティブな理由で転職する方が増えつつある今、そこまで離職率を注意深く見る必要性はないかもしれません。また、離職率が低いという職場は、社内でしか通用しないスキルを持った人材が長く勤めているような、いわゆる『ゆるい職場』も多いので、一概に離職率が低いことがプラスの要素だとも断言はできません」(同)