このことからスライムが移動や跳躍による捕食戦略を持つ可能性が浮かび上がってきます。

立体視により距離感を正確に掴むことで、小動物や昆虫状の獲物へ跳びかかる、正確なタイミングで突進するなどの行動が可能になるからです。

このことからスライムたちは自然界において、非力な狩られる側ではなく、狩る側としての側面も持つことを示唆しています。

スライムの顔や体に対する口の比率はかなり大きくなっています
スライムの顔や体に対する口の比率はかなり大きくなっています / Credit:clip studio . 川勝康弘

同じ結果は口の形状からも導き出すことが可能です。

目と同様に口の形は、その動物がどんな食生活を送っているかを教えてくれるからです。

肉食動物の場合には、顔に比して大きな口の切れ込みを持つ傾向があります。

これは獲物を捕らえ、一度に多くの肉を食べるために有効だからです。

特にヘビなどの丸呑み系の捕食を行う動物では、自分の顔を大きく上回るほどの大口を開けることが可能です。

一方、草食動物の口の開きは比較的小さくなっています。

ライオンの口とウサギの口を比べると、口の大きさと顔の比率の違いが際立つでしょう。

そして雑食動物の場合は、両者の中間の口の大きさを持つと考えられています。

ここでスライムの口を見てみると、その大きさがよくわかります。

スライムの口の左右の長さは顔……いえ、体全体と比べても巨大です。

ドラクエのスライムの設定には「植物を食べる」「雑食性である」との両方の記述がみられますが、目と口の特徴は彼らが単なる草食動物ではなく、ある程度の捕食行動を行う可能性を示しています。

設定と併せて考えると、スライムの本当の食性は「雑食性」と考えられます。

雑食性は、「なんでも食べる」生態戦略を採用することで環境変化に対応する柔軟性を備えることができます。

ではスライムが捕食行動を行うとしたら、その狩りのスタイルはどんなものになるのでしょうか?

サバンナにいるチーターやライオンのように、狩りをするのでしょうか?