人口の多い米国とは言え、約3年で520万人もの差が生じるのは、さすがにおかしい。
2024年8月の雇用統計年次改定(速報値)で、非農業部門雇用者数(=事業所調査による雇用者数)の81.8万人にも及ぶ大幅下方修正(暫定値)が報じられたように、今後も2025年2月に発表される年次改定(確報値)などで非農業部門雇用者数は下方修正されていくのではないだろうか。そうとしか思えない乖離幅である。
もしこの推測が正しければ、現在私たちは過大評価された非農業部門雇用者数を見ていることになる(参考までに家計調査は年次改定の対象ではない)。
平均失業期間も急速に長期化し始めている。
米国では27週以上の長期失業者は原則失業保険の受給対象“外”となるため、失業保険を受給できない失業者も増え続けている。当然、失業保険を受給できない人が増加するということは生活困窮者を招き、更なる景気の下押し圧力となる。
失業者の失業理由のなかに、Permanent Job Losers(一時的ではなく完全に解雇された労働者)という項目がある。
その完全解雇者数も右肩上がりで上昇中である。完全解雇者数が増えると失業者数もそれと軌を一にして増加していく。
参考までに、リーマン・ショック時は以下である。
雇用者数(家計調査)のうち、フルタイム勤務の雇用者数前年比は2024年2月以降マイナスが続いている。
労働参加率も勢いを失い始めた。これは雇用に勢いがないことの裏返しでもある(1948年以降、雇用者数(家計調査)が前月比減となった月数297回のうち、239回(80.5%の確率)で労働参加率の低下が発生している)。
細かくデータを見る限り、雇用が悪化を続けているのは疑いようのない事実だ。そして来月以降の雇用統計も直近の状況が続く限り、高い確率で悪化を続けていく。